宇宙の叙情 Arvo Pärt

 

Arvo Pärt “A TRIBUTE”

去年だったか、一昨年だったか細川俊夫さんのホルン協奏曲がベルリンフィルの定期で取り上げられて嬉しかった。確か「開花の時」というタイトルだったように憶えている。日本人の作曲家も活躍してるんだと思った。ラトルの指揮で後半はシューベルトの「グレート」だったと思うのだが、その時ちょっと面白い経験をした。このことは、またの機会にして、今回は、アルヴォ・ペルトという作曲家を紹介したい。

ペルト(Arvo Pärt, 1935-)を知ったのはかなり前のことだが、その後この人の作品が、ウィ―ンの楽友協会ホールやベルリンのフィルハーモニーなどで演奏されるようになって、これまた嬉しかったのである。旧ソビエト連邦の治下にあったエストニアの都市パイデアに生まれた。そこでは当時、前衛音楽や宗教音楽の作曲などは、禁止されていた。そういう時代に作曲を始めたのである。放送局の音響技師をしながら、1963年に28歳でタリン音楽院を卒業した。

最初は、プロコフィエフやショスタコーヴィチなどの影響をうけたが、その後はクシェネックの十二音音楽の教本や、ブーレーズ、ノーノなどの録音テープなどから音列技法などを学び、それを試したようだ。前衛を突っ走ろうとしたのだが、1967年東方教会の単旋聖歌を始めて聞く。1968年から6年間、ペルトは全く沈黙したようである。東方教会の単旋律聖歌やグレゴリオ聖歌や中世・ルネッサンスの音楽の研究に没頭したらしい。そうしてティンティナブリ様式という彼独特の音楽に到達した。単旋聖歌風の自由でシンプルな音の組み合わせをほとんど同じリズムで繰り返す手法である。彼にとって「音楽の神秘」とは、「音の中にどのように入り込んでいくか」を知ることにあった。67年の単旋聖歌との出会いは文字どうり神の恩寵となったのだった。こういう独自の進化を遂げたアーティストの作品を知ることは無上の喜びである。

Arvo Pärt

“Pärt” Virgin classics

作品を知っていただくためにはこのCD (“Pärt” Virgin classics  Estonian Philharmonic Chamber Choir)を聞いていただくのが良いと思う。2枚組で1枚は器楽曲、2枚目は声楽曲でペルトのおもな作品が収められている。器楽曲の中で、Tabula Rasaという曲の1楽章がカットされているので全曲聞きたい人には、ギドン・クレーメルの名演がしるされた同名のCDを聞かれたらよいと思う。“Tabula Rasa” ECM  Gidon Kremer, Alfred Schnittke 他

ミニマルミュージックと誤解される向きもあるけれど、本質的にまったく異なるものだと思う。今回YOUTUBEでは、探せなかったけれど『ソルフェージュ』という声楽曲を是非聞いてほしい。ドレミファソラシドと歌っているだけだが、そこには音の宇宙がある。宇宙の叙情が響いてくるのである。

 

 

TABULA RASA

TABULA RASA

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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