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フィリップ・サンズ『ニュルンベルク合流』戦争犯罪における国家と個人

‎2022‎年‎5‎月‎20‎日、‏‎20:37:28 | 植田信隆全文を表示
  話は、法廷弁護士である著者がウクライナのリヴィウで講演を依頼されたことに端を発する。当時、国際刑事裁判所 (ICC) の創設に関わっていて、チリの元大統領ピノチェットに関するジェノサイドと人道に対する罪の案 […]

イアン・マクリ―二―&ライザ・ウルヴァートン『知は如何にして「再発明」されたか』part2 アリストテレスとインターネット

‎2022‎年‎5‎月‎8‎日、‏‎11:01:09 | 植田信隆全文を表示
  アリストテレスが、著書の中で行おうとした教義の異なる学派の相違点と矛盾の総ざらいは、アレクサンドリアの図書館が多様な書物を収蔵・保存し、それらの比較研究に資するようにというコンセプトのもとに立ち上げられ、引 […]

イアン・マクリ―二―&ライザ・ウルヴァートン『知は如何にして「再発明」されたか』part1 シンクロする制度と知の変遷

2022‎年‎4‎月‎29‎日、‏‎17:06:49 | 植田信隆全文を表示
  古代ギリシアの知が帝国という新たな制度に飲み込まれた時、図書館は帝国の出先機関となり、地中海世界に広くギリシア文化を浸透させる役割を担うことになる。アウグスティヌスのような教父はギリシアやローマの知の伝統を […]

原田安啓『中世イスラムの図書館と西洋』知はブーメランのように帰還する

‎2022‎年‎4‎月‎23‎日、‏‎19:55:53 | 植田信隆全文を表示
  中世イスラム世界、それも図書館について書かれている。う~ん、なんて香しいんだろう。史上最も有名な図書館は、アレクサンドリアの図書館といってよいと思うけれど、これに匹敵する図書館がイスラムに登場する。人間の知 […]

イヴォ・アンドリッチ『ドリナの橋』架橋を過ぎるボスニアの記憶

‎2022‎年‎3‎月‎26‎日、‏‎19:31:51 | 植田信隆全文を表示
  ボスニアとセルビアの国境をなすドリナ川、そのボスニア側にあるヴィシェグラードには、その川に架かっている世界遺産となった美しい橋がある。オスマン・トルコ帝国の新設部隊イエニチェリが東南欧のキリスト教国から10 […]
 
 

ジョルジュ・ディディ=ユベルマン part2 『ニンファ・モデルナ』イメージは落下しながら何処へ向かうのか

‎2022‎年‎3‎月‎6‎日、‏‎14:12:24 | 植田信隆全文を表示
  極限の優美として知られる聖カエキリアの像。日本では中世ラテン語の聖チェチーリアという呼び名の方が知られている。カエキリアは、より古いラテン語の呼び名だ。ステファノ・マデルノという、あまり名の知られぬ古代彫刻 […]
 
 

ジョルジュ・ディディ=ユベルマン part1 『時間の前で』美術史は預言の学となる

‎2022‎年‎2‎月‎23‎日、‏‎13:26:15 | 植田信隆全文を表示
  ジョルジュ・ディディ=ユベルマンは極めて特異な美術史家である。イメージ人類学者と呼ぶ人もいるが、彼はイメージを象徴としてではなく、徴候と捉える。これは、ヴァールブルクとベンヤミンに連なる系譜と言ってよい。そ […]
 
 

キム・ヘスン/金 惠順 『死の自叙伝』 詩は死を葬送する

‎2022‎年‎2‎月‎4‎日、‏‎17:32:35 | 植田信隆全文を表示
  魂があるなら、その前髪をつかまれて暗い淵を引きずり回される。あなたの孤独など屑籠に投げ入れるほどの価値もないのよと肩を叩かれる。そんな、インパクトのある詩人が韓国にいる。 「君は、そんな暗い詩が好きなのかね […]
 
 

テオドール・アドルノ『美の理論』+『補遺』 芸術とは奥歯を噛みしめること

‎2022‎年‎1‎月‎10‎日、‏‎13:15:41 | 植田信隆全文を表示
  アドルノは、こう書いている。「芸術に相応しい態度があるとするなら、それは眼を閉じ奥歯をじっとかみしめて、こらえるといった態度なのかもしれない (『補遺』大久保健治 訳)。」 しかし、何時まで噛みしめていれば […]
 
 

ヘルムート・ベッティガー『パウル・ツェラーンの場所』遠ざかる道程としての芸術

‎2021‎年‎12‎月‎11‎日、‏‎16:21:38 | 植田信隆全文を表示
  絵画は運動の芸術だといったら、たいていの人は頭を捻るだろう。そういった認識を持つキュレーターにも出会ったことがない。少なくともクレーはそう述べている(『造形思考』)。色彩と形態と質感がその運動の中でほぼ完全 […]
 
 

保護中: マーク・ソームズ、オリヴァー・ターンブル『脳と心的世界』三脳生物のジェリコのラッパ

2021‎年‎11‎月‎10‎日、‏‎21:51:41 | 植田信隆全文を表示
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梯 久美子『原 民喜 死と愛と孤独の肖像』ベールの向こう側の「私」

‎2021‎年‎10‎月‎1‎日、‏‎19:01:32 | 植田信隆全文を表示
  「すぐれた聖職者は、常に自分の祈祷書を携帯しているものだ。これと同じように、芸術家は彼の内に死を携えている」と、ドイツの小説家ハインリッヒ・ベルは述べたと言う。ガーン ! これは痛い所を突かれた。人は、死を […]
 
 

保護中: 松山俊太郎 part2 『蓮と法華経』世界文学としての法華経

2021‎年‎9‎月‎17‎日、‏‎15:55:11 | 植田信隆全文を表示
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松山俊太郎 part1 『蓮の宇宙』人生は虚しいですが、もとはタダですから。

2021‎年‎9‎月‎3‎日、‏‎17:03:26 | 植田信隆全文を表示
  松山俊太郎さんの著作に耽溺しています。初めて読んだのは『インドのエロス』だった。インドの愛の詩について書かれているのです。そこでは、まず翻訳とはある作品を通じて何かを感じたところを、かなり不純に、そのごく一 […]
 
 

ロバート・ジェイ・リフトン『ヒロシマを生き抜く』精神的死からの再生

‎2021‎年‎8‎月‎20‎日、‏‎9:01:27 | 植田信隆全文を表示
  1962年リフトン博士は、原爆投下17年後のヒロシマに到着した。ここでの研究は、核兵器による極限的な出来事に対する被爆者の心理的影響を研究するためだった。そのことは、前回のラン・ツヴァイゲンバーグ『ヒロシマ […]
 
 

ラン・ツヴァイゲンバーグ『ヒロシマ 』大量虐殺の記憶文化

‎2021‎年‎8‎月‎5‎日、‏‎13:11:37 | 植田信隆全文を表示
  今でもそうなのだと思うのだけれど、広島市の小学校では、原爆資料館の見学は必須だった。僕が小学生の時、何年生だったかはもう忘れてしまったけれど、皆で資料館に行って、ひどく怖かったのを覚えている。しばらく原爆資 […]
 
 

ヨシフ・ベニヤミノビッチ・ブラシンスキー『スキタイ王の黄金遺宝』黄金と盗掘と考古学と

‎2021‎年‎7‎月‎23‎日、‏‎10:22:59 | 植田信隆全文を表示
  紀元前一千年期の初頭には、中央ユーラシアの草原にアラビア半島やアフリカとは異なる遊牧民が、支配的勢力となっていた。広大な土地でありながら彼らの生活形態は驚くほど似ていた。その中で史上最も早く知られるようにな […]
 
 

雪嶋宏一『スキタイ 騎馬遊牧国家の歴史と考古』 消えた謎の騎馬民族

‎2021‎年‎7‎月‎9‎日、‏‎12:10:21 | 植田信隆全文を表示
  突然消え失せた民族。蛇女がヘラクレスに宿させた末裔たち。騒乱と戦争とを好んだ民族。そのスキタイとは何者なのか。旧約聖書における預言者エレミアは、彼等の侵入を神の下した懲罰だと言い、新アッシリア王エサルハッド […]
 
 

保護中: ミルチャ・エリアーデ part2『太陽と天空神』抽象化される神と豊穣の牡牛

2021‎年‎6‎月‎25‎日、‏‎10:34:36 | 植田信隆全文を表示
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ミルチャ・エリアーデ part1『豊穣と再生』絡めとる網としての象徴

‎2021‎年‎6‎月‎11‎日、‏‎17:00:12 | 植田信隆全文を表示
  世界樹というものがある。世界の中心、宇宙を支える木、無尽蔵の生命。それは、単に植物であるというよりは、「ある力」を表している。礼拝の対象というより大いなる恵みの力、つまり「おかげ」なのである。この樹は人間に […]
 
 

『天翔ける祈りの舞 チベット歌舞劇』アチェ・ラモという名の民衆オペラ

‎2021‎年‎2‎月‎5‎日、‏‎16:12:17 | 植田信隆全文を表示
  能の舞を見ていると、それが舞楽から来ているとは思えない。舞楽は、ゆっくりと軽く床を踏むことはある。しかし、能には勿論旋回はあるけれど、インドやジャワの舞踊のように腰を落として床=大地を踏み、その踏み方はとて […]
 
 

ロルフ・スタン『チベットの文化』 風の馬は虹を駆ける

‎2021‎年‎1‎月‎22‎日、‏‎12:56:57 | 植田信隆全文を表示
  チベットのことはよく分からない。これは我々日本人だけでなく、多くの外国人にとっても、そうだ。そこは秘境だからである。インド人にとってヒマラヤを中心とした北の国は、聖なる神秘の国だった。パラハマンサ・ヨガナン […]
 
 

クレチヤン・ド・トロワ「アーサー王 円卓の騎士の物語」part2 『ペルスヴァルあるいは聖杯の物語』

‎2021‎年‎1‎月‎8‎日、‏‎17:19:13 | 植田信隆全文を表示
  お正月も過ぎましたね。昔は、別火の物忌みとかでお正月は火を使わないというしきたりもあったようだけれど、僕の子供の頃にはなかった。広島では既に廃れてしまっていたのか、我が家にはそういった慣習が無かったのか、よ […]
 
 

クレチヤン・ド・トロワ「アーサー王 円卓の騎士の物語」part1『獅子の騎士イヴァン』

‎2020‎年‎12‎月‎25‎日、‏‎17:13:25 | 植田信隆全文を表示
  血統を誇り、武芸に秀で、宮廷風な雅を備える騎士たるものは、その言葉遣い、振舞い、センスの良い衣装、戦いにおける勇猛と深慮、忠誠心と寛大さと気前の良さを併せ持たねばならなかった。でも、これって、ちょっとハード […]
 
 

竹田青嗣『哲学とは何か』「認識・言語・存在、本質」のテーブルマップ

‎2020‎年‎12‎月‎11‎日、‏‎18:01:46 | 植田信隆全文を表示
  ゴルギアス (前487‐前376) というシチリア生まれのソフィストがいた。哲学の三つの謎を巡るゴルギアスの定理というのがあるらしい。このようなものだ。 ●およそ何ものも存在しえない。あるいは証明されない。 […]
 
 

バルーフ・スピノザ part2「 スピノザとの対話」ヘルダー、ナドラー、カーリー、ドゥルーズ

2020‎年‎11‎月‎27‎日、‏‎16:24:40 | 植田信隆全文を表示
  1640年代にレンブラントが、アムステルダムのブレーストラー通りの贅沢な邸宅に住んでいた頃、身近なユダヤ教徒たちを素描し、銅版画にし、油彩で描いていた。通りの向かいに住んでいたユダヤ教の師、つまりラビのメッ […]
 
 

バルーフ・スピノザ part1 イルミヤフ・ヨベル『スピノザ 異端の系譜』自由としての人間の力

‎2020‎年‎11‎月‎13‎日、‏‎17:36:26 | 植田信隆全文を表示
  スピノザの迷宮、危険な思想家、異端者、唯物論者、無神論者などなど様々なレッテルを貼られてきた思想家。今回は、そのバルーフ・スピノザを取り上げます。 「本書は、哲学する自由を認めても道徳心や国の平和は損なわれ […]
 
 

ヨハネス・ロッツ『ハイデガーとトマス・アクィナス』神は創造において性起する

‎2020‎年‎10‎月‎30‎日、‏‎16:40:05 | 植田信隆全文を表示
  ヘラクレイトスが、人間の二面性について語っていることを前にご紹介しました。人間は自らの内奥でロゴスと一つでありながら、不可解にもロゴスから離反し、不幸な分裂に陥っている。この分裂が、生涯に亘る人間の行動、す […]
 
 

柴田平三郎『トマス・アクィナスの政治思想』part2 中世神学と国家理論

‎2020‎年‎10‎月‎16‎日、‏‎18:16:14 | 植田信隆全文を表示
  中世史家であるジョセフ・ストレイヤーは、11世紀までの西欧中世は<長期の冬>であり、12世紀に<中世の春>が訪れると言う。それは、「12世紀ルネサンス」と言ってよかった。トマスの生きた13世紀は、その最盛期 […]
 
 

柴田平三郎『トマス・アクィナスの政治思想』part1 スンマに殉じた黙り牛

2020‎年‎10‎月‎1‎日、‏‎17:14:00 | 植田信隆全文を表示
  トマス・アクィナス (1225頃-1274) は、神学・哲学の巨大な総合体系を打ち立てたことであまりに有名だった。そのイメージは、いかにも痩身痩躯の学者肌の人と思われがちだけれど、肥満ぎみで、かなり巨体であ […]
 
 

矢部良明『茶の湯の祖、珠光』 身の丈の茶とつるぎの植木

‎2020‎年‎9‎月‎18‎日、‏‎16:52:40 | 植田信隆全文を表示
  茶の湯の創始者は村田珠光だと言うと、え?、利休じゃないんですかと聞き返される。「茶の湯の開山は、珠光である」と利休は述べたというから間違いない。何故、一般に利休の方が有名で珠光はマイナーかというと、利休と秀 […]
 
 

エリック・アリエズ&マウリツィオ・ラッツァラート 『戦争と資本』 境界を失った戦争と平和

‎2020‎年‎9‎月‎4‎日、‏‎15:59:37 | 植田信隆全文を表示
  タイトルは「戦争と平和」ではなくて「戦争と資本」なのだ。何故だろう。戦争と信用こそ、資本主義における戦略的武器であり続けていると筆者たちは言う。ミッシェル・フーコーはコレージュ・ド・フランスの最初の講義(1 […]
 
 

川原繁人『「あ」は「い」より大きい!? 』音象徴とコトの葉

‎2020‎年‎8‎月‎21‎日、‏‎14:47:25 | 植田信隆全文を表示
  「あ」は「い」より大きい。なんとなくそんな気もする。malumaは丸く、taketeは角ばってる。これは、そう思える。何故か「かなまな」より「まなかな」方が言いやすい。 「ガンダム」と「カンタム」、「クレヨ […]
 
 

石井洋二郎『時代を「写した」男 ナダール』肖像/天球からパリのカタコンべまで

‎2020‎年‎8‎月‎8‎日、‏‎16:16:51 | 植田信隆全文を表示
  写真家ナダール‥‥若き日のボードレール、死の床にあるユゴー、20歳のサラ・ベルナール、得意絶頂のドラクロア、老いてもなお学究の徒たりえたファーブル、彼の音楽そのものを漂わせるプッチーニ、それに日本の文久遣欧 […]
 
 

「見えていたものが見えなくなる」「見えないはずのものが見える」part2 オリヴァー・サックス『道程』

2020‎年‎7‎月‎28‎日、‏‎16:48:44 | 植田信隆全文を表示
  少し前に、ある学芸員さんと話していたら、最近あらぬものが見えて困るんだよ。オリヴァー・サックスの本に出てくるようなやつね、と、おっしゃる。ちょうど、ドイツのグリュッタース文化大臣が、新型コロナウィルス禍の中 […]
 
 

「見えていたものが見えなくなる」「見えないはずのものが見える」part1 伊藤俊治『見えることのトポロジー』

‎2020‎年‎7‎月‎18‎日、‏‎17:20:36 | 植田信隆全文を表示
  アメリカ版VOGUEの8月号の表紙にシモーン・ヴァイルスという有名な黒人体操選手の写真が載って色々論議を呼んでいるらしい。最近のジョージ・フロイドさんの警官による暴行死の余波であることは確かのようだ。主訴は […]
 
 

領家高子『なつ 樋口一葉 奇跡の日々』 一葉舟は見事浮かび‥‥

2020‎年‎7‎月‎8‎日、‏‎18:24:45 | 植田信隆全文を表示
舟は一葉、黄帝の故事は観阿弥の『自然居士』に結ばれ、桐の一葉は達磨の乗った葦の葉となり樋口夏子の本郷丸山福山町の住まい水の上に見事浮かんだ。 と述べても一体何のことやらと思われるでしょう。僕は文学関係の人間ではないし、文 […]
 
 

ガブリエル・タルド『社会法則/モナド論と社会学』タルドの波動/ドゥルーズとラトゥール

2020‎年‎6‎月‎24‎日、‏‎19:37:48 | 植田信隆全文を表示
  ガブリエル・タルドはフランス南西部のドルトーニュにあるサルラ (現 サルラ=ラ=カネダ) に1843年に生まれた。父は地方貴族の流れをくみ、その地の裁判官を務めていたが、タルドが7歳の時に亡くなっている。数 […]
 
 

ブルーノ・シュルツ『肉桂色の店』 父の変身、あるいは変容する家庭内叙事詩

‎2020‎年‎6‎月‎12‎日、‏‎16:03:15 | 植田信隆全文を表示
  松澤宥 (まつざわ ゆたか) さんとの展覧会があり、その後、展覧会に関する色々な記録を作っていましてブログが遅れました。約一月半ぶりとなります。今回は、展覧会中に偶々見ることのできたクエイ兄弟の作品から知っ […]
 
 

チャールズ・サイフェ『宇宙を複号 (デコード) する』 エントロピーとデコヒーレンス

2020‎年‎5‎月‎1‎日、‏‎18:03:33 | 植田信隆全文を表示
  相手に何かを伝えたい、コミュニケーションしたいという衝動は、群れて生活するものにとって切実である。非常事態宣言が出て外出自粛になっても、知り合いがスーパーにいれば、ついつい話し込んでしまうのは人情だ。そのコ […]
 
 

「量子世界は表象可能か」実在と観測/確率と情報

‎2020‎年‎4‎月‎17‎日、‏‎16:08:59 | 植田信隆全文を表示
  電子には、大きさがない。現在分かっている限りでは内部構造を持たない。陽子の約2000分の一というわずかな質量はあるが大きさがない。電荷があり、スピンがあるのに大きさがない。大きさがないのにどうやって存在して […]
 
 

カール・グスタフ・ユング『空飛ぶ円盤』付 ビリー・マイヤーと松澤宥

‎2020‎年‎4‎月‎3‎日、‏‎16:07:01 | 植田信隆全文を表示
  満月は夜 高き山にあがり ただ一つの頭脳を持つ 新しい知恵ある人がそこに見られ 不死なるものとなることを弟子にしめし 彼の目は南に 手と足は火に (ミシェル・ノストラダムス『預言集 (諸世紀)』第四章31 […]
 
 

石飛道子『ブッダと龍樹の論理学』 part2 龍樹・第一義諦の命題

2020‎年‎3‎月‎20‎日、‏‎19:01:54 | 植田信隆全文を表示
  石飛道子氏は、アリストテレス以来の伝統的論理学から展開した命題論理学を用いながら、ブッダや龍樹がどのような論理を用いて教えを述べてきたかを明らかにして行く。前回 part1 は、彼女が「ブッダの公式」と呼ぶ […]
 
 

石飛道子『ブッダと龍樹の論理学』 part1 縁起を導く接続詞

‎2020‎年‎3‎月‎5‎日、‏‎18:53:44 | 植田信隆全文を表示
  不滅にして不生、不断にして不常、不一にして不異、不来にして不去、戯論寂滅にして吉祥なる縁起を御説きになった、説法者中の最高の説法者である仏陀に敬礼いたします(『根本中頌』帰敬偈 桂紹隆、五島清隆 訳) この […]
 
 

西澤潤一・上野勛黄『人類は80年で滅亡する』 温暖化の果てにあるもの

2020‎年‎2‎月‎21‎日、‏‎18:14:37 | 植田信隆全文を表示
「80年内に人類は滅亡する。」このテーマを知ったのは科学雑誌でもなく、新聞記事でもなく、松澤宥(まつざわ ゆたか)というアーティストの作品だった。2000年に本書が出版されているから、作品にこのメッセージが使われたのは、 […]
 
 

ツヴェタン・トドロフ『象徴の理論』part2 象徴学への遠望

‎2020‎年‎2‎月‎6‎日、‏‎17:53:04 | 植田信隆全文を表示
今回はツヴェタン・トドロフの『象徴の理論』を取り上げています。本書では、象徴は記号学の視野の中で意味喚起の機能を巡る問題として扱われるのですが、それを前提にお読みください。しかし、この後半で、トドロフは象徴体系の歴史を追 […]
 
 

ツヴェタン・トドロフ『象徴の理論』part1  記号の発生と象徴=交換能力

‎2020‎年‎1‎月‎23‎日、‏‎18:41:51 | 植田信隆全文を表示
ボルヘスは、こう述べている。「エマソンがその著作のある個所で書いています。図書館は、死者らで満ち溢れた魔の洞窟である、と。しかも、これらの死者は甦ることが可能なのです(『詩という仕事について』鼓直 訳)。」そして、「バー […]
 
 

ジョージ・ビショプ 『ペドロ・アルぺ SJ 伝』あなたにとってキリストとは誰ですか?

‎2019‎年‎11‎月‎19‎日、‏‎17:14:20 | 植田信隆全文を表示
イエズス会とは何か。と聞かれてもおそらく信者さんで、その教会に関わっている人でなければ良く分からないのではないだろうか。これはドミニコ会やフランシスコ会といったキリスト教会派でも同様であろう。かくいう筆者もイエズス会の経 […]
 
 

ドナルド・キーン『文楽』part2 浄瑠璃人形の来た道

‎2019‎年‎11‎月‎9‎日、‏‎21:00:06 | 植田信隆全文を表示
確かに人形が生きていると錯覚させるほどの芸がある。それは多くの人たちが体験してきたことだ。その人形に生命を吹き込んできたのは人形遣いたちである。彼らは、ある時代には河原者と同一視され賤民と呼ばれ、時には神事に奉仕する者た […]
 
 

ドナルド・キーン『文楽』part1 浄瑠璃と山葵は泣きながら誉める

‎2019‎年‎10‎月‎29‎日、‏‎18:43:00 | 植田信隆全文を表示
だめだ。目の辺りがうるうるしてきた。涙が瞼の堤防を越えそうだ。あっ~っ、袂(たもと)に河原の石を詰めはじめた。身投げする気だ。しかし、両隣に坐っているおばさんたちは、いっこうに動ずる気配がない。ひょっとして鉄のハートなの […]
 
 

今道友信『ダンテ「神曲」講義』part3 天国篇 ―― 美の神学

2019‎年‎10‎月‎8‎日、‏‎18:57:11 | 植田信隆全文を表示
クラシックって古典のことだろ、と当たり前に思っていたのですが、恥ずかしながらその語源について知ったのは、本書を通じてでした。クラシックとはラテン語の classis= 艦隊を意味する名詞から派生した形容詞であると言う。ラ […]
 
 

今道友信『ダンテ「神曲」講義』part2 煉獄篇 ―― ああ ! ベアトリーチェ

2019‎年‎9‎月‎28‎日、‏‎13:52:12 | 植田信隆全文を表示
ダンテはヨーロッパ近代文学の祖と言われている。ほとんどの人が哲学者ダンテを言祝ぎ、詩人ダンテを激賞した。詩人哲学者と言って良い。『ヨブ記』はパトスの文学であるが、ヨブ自身は信仰の人ではあっても哲学者ではなく、ゲーテの『フ […]
 
 

今道友信『ダンテ「神曲」講義』part1 地獄篇 ―― 嘆きの都市へ

‎2019‎年‎9‎月‎20‎日、‏‎17:58:27 | 植田信隆全文を表示
今道友信(いまみち とものぶ)さんの講演を聞くことができたことは、幸福な思い出となっている。今でも忘れがたい。2001年の北九州市立美術館での講演だと記憶している。演題は『東洋の美学――二十一世紀の課題として――』だった […]
 
 

ミハイル・バフチン 私とあなたの私との対話/結び合う記号のネットワーク

2019‎年‎9‎月‎1‎日、‏‎15:47:04 | 植田信隆全文を表示
私と物、主観と客観、精神と外界‥‥この二つの世界を巡って百家が争鳴し、スッタモンダの挙句にどうにもなっていないのか、それとも少しは明るい見通しがあるのか。ここは問題です。今回は、このテーマを契機に前回に続いてロシアの恐る […]
 
 

ミハイル・バフチン『フランソワ・ラブレーの作品と中世・ルネッサンスの民衆文化』笑いは世界を再生させる

‎2019‎年‎8‎月‎5‎日、‏‎8:40:21 | 植田信隆全文を表示
今回は、色々な本の中でちょこちょこ名前の出てくるミハイル・バフチン(ミハイール・バフチーン)のグロテスク・リアリズムを取りあげたい。魔術的リアリズムに近いようで遠い。エロ・グロ・ナンセンスのグロテスクとも似つかない。じゃ […]
 
 

『变臉/この櫂に手をそえて』 名優・朱旭と中国映画

‎2019‎年‎7‎月‎21‎日、‏‎19:11:48 | 植田信隆全文を表示
映画を見た。中国の老いた大道芸人を扱った作品だった。中国の四川省には川劇(せんげき)と呼ばれる京劇に似た伝統芸があるらしい。その劇は、正に瞬く間もなく瞼譜(れんふ/隈取)を取り換える技、変臉(へんれん)を以って知られてい […]
 
 

清少納言『枕草子』 鵺の如き複合体としての日記

‎2019‎年‎6‎月‎28‎日、‏‎15:46:27 | 植田信隆全文を表示
  清少納言の『枕草紙』、随分不思議なものだと思ってきた。勿論、彼女の才気を煥発させている文章ではあるのだが、それだけではない。ある種のカタログである。「‥‥花によろこびといかりあり、いねたるとさめたるとあり、 […]
 
 

石を聴く― 天と地を結んでけつまずくもの

‎2019‎年‎4‎月‎15‎日、‏‎17:53:09 | 植田信隆全文を表示
  わたしは星が好きだ 道の上の石に似ているから 空をはだしで歩いたら やはり星にけつまずくだろう わたしは道の上の石が好きだ 星に似ているから 朝から晩までわたしの 行く先を照らしてくれる(イジ―・ヴォルケル […]
 
 

矢崎節夫『童謡詩人 金子みすゞの生涯』やさしさの倫理とリヴァースする視線

‎2019‎年‎3‎月‎29‎日、‏‎18:10:34 | 植田信隆全文を表示
昭和二年の夏、西条八十(さいじょう やそ)は所用で九州に向う途中、下関のプラットフォームに降り立った。彼が高く評価していた童謡詩人と会う約束をしていた。プラットフォームには、それらしい人影はなかった。関門海峡を渡る連絡船 […]
 
 

「国見歌から閑吟集へ」歌は世につれ・世は歌につれ part2 今様から小歌、そして

‎2019‎年‎3‎月‎15‎日、‏‎14:58:49 | 植田信隆全文を表示
11世紀になると「今めかしたる」歌が一世を風靡し始める。「今様」である。催馬楽が徐々にその地位を今様に明け渡しはじめるのである。今様は、当時の最新流行のポップスであった。都市という生活環境が発達を見せ、人々が経済的余裕と […]
 
 

「国見歌から閑吟集へ」歌は世につれ・世は歌につれ part1 国見歌から催馬楽まで

‎2019‎年‎3‎月‎1‎日、‏‎19:26:20 | 植田信隆全文を表示
  忘れられない歌を 突然聞く 誰も知る人のない 遠い町の角で やっと恨みも嘘も うすれた頃 忘れられない歌が もう一度はやる 愛してる愛してる 今は誰のため 愛してる愛してる 君よ歌う やっと忘れた歌が もう […]
 
 

「笑話あれこれ」笑いは東西を駆けまわる

2019‎年‎2‎月‎15‎日、‏‎18:06:58 | 植田信隆全文を表示
韓国には一度転ぶと三年しか生きられないという謂(いわ)れの『三年峠』という童話があるそうです。韓国伝来の童話として日本の小学校の国語の教科書にも紹介されたことがあるらしいのです。 三年峠で転ぶなよ。転ぶと三年しか生きられ […]
 
 

「アフロディテの系譜」エロスとタナトスの間

‎2019‎年‎2‎月‎1‎日、‏‎19:58:50 | 植田信隆全文を表示
  七月二十一日、思うことありて偶(たまた)ま題す もやに包まれておぼろ月のもと、明け方の花の顔は露に泣きぬれ、柳に眠る夜のうぐいすは、その枝の冷たさに、まどかな夢を結びかねている。 いま起き上がったその石の枕 […]
 
 

『徐渭の水墨』 疾走するストローク 超越か狂気か?

2019‎年‎1‎月‎20‎日、‏‎16:06:51 | 植田信隆全文を表示
徐渭(じょい)が狂ったのか、それを演じたのか分からない。自分の墓誌銘を作り、斧で自分の頭を叩き割ろうとした。頭の骨は折れたが死ななかった。錐で耳を刺し、血は流れ続けたが死にはしなかった。ついには職人に自分の棺を作らせて槌 […]
 
 

江戸の至芸『操り三番叟』飛べ大黒天・舞え三番叟

‎2019‎年‎1‎月‎3‎日、‏‎14:19:30 | 植田信隆全文を表示
今回は、新しいシリーズに入るということもあり、お正月でもあるのでおめでたいものをと思って前からご紹介したかった「操り三番叟(さんばそう)」とその三番叟に関連した事柄を取りあげました。能の中で最も格式の高い『翁』は、翁、千 […]
 
 

小川正廣 『ウェルギリウス研究 ローマ詩人の創造』 ホメロスとウェルギリウス

‎2018‎年‎12‎月‎28‎日、‏‎15:32:02 | 植田信隆全文を表示
ヘンリー・パーセルの作曲したオペラ『ディドとエアネス』、バロックオペラの傑作として誉高い。トロイの王子エネアスとカルタゴの女王ディドとの悲恋を描いている。ウェルギリウスが書いた叙事詩『アエネイス』を底本にして構想された。 […]
 
 

ミシェル・テヴォー『アール・ヴリュツト』 壮麗な無関心の創造力

2018‎年‎12‎月‎14‎日、‏‎15:20:53 | 植田信隆全文を表示
まだ、かねこ・あーとギャラリーが東京は京橋にあった頃、僕はここでかなり個展をさせてもらっていた。オーナーの金子多朔(かねこ たさく)さんが、展覧会の度に「日本の作家の絵は脆弱なんだよ」と言っては、僕にアーヌルフ・ライナー […]
 
 

ハンス・プリンツホルン『精神病者はなにを創造したのか』芸術家と精神病者の世界感情

‎2018‎年‎11‎月‎30‎日、‏‎19:15:18 | 植田信隆全文を表示
パウル・クレーはこう書いている。「‥‥プリンツホルンの素晴らしい著書をご存じだろう。われわれも全く異論はない。そこに収容されている作品を見ると、あそこにもここにもいたるところに最良のクレーがいるのだ ! そこに示されてい […]
 
 

T.S.エリオット part2 『四つの四重奏』比較文学の大渦へ

‎2018‎年‎11‎月‎16‎日、‏‎19:42:34 | 植田信隆全文を表示
トマス・スターンズ・エリオットには詩人としてだけではなく、文芸批評家としての顔がある。ちょっとご紹介しておこう。『エドガー・アラン・ポーからヴァレリーへ』でポーの作品を批評している。八木敏雄編『エドガー・アランポー』から […]
 
 

T.S.エリオット part1 『荒地』 リシュヤシュリンガ・聖杯・アングロカトリック

‎2018‎年‎11‎月‎2‎日、‏‎17:33:28 | 植田信隆全文を表示
能の『一角仙人』や歌舞伎の『鳴神』が T.S.エリオットの詩と繋がっていると言ったらエリオットファンは興がるのか、嫌がるのかどっちなのだろう。時々、非常に遠いものを結び付けてみる。ランダム・リンクではないけれど遠いところ […]
 
 

西谷啓治『正法眼蔵講話』世界とは何かを知る

‎2018‎年‎9‎月‎28‎日、‏‎19:16:34 | 植田信隆全文を表示
太陽山楷和尚衆に示していわく「青山常に運歩し、石女夜児を生む」 雲門匡真(うんもん きょうしん)大師いわく「東山水上を行く」 良寛(1758-1831)は越後の出雲崎に名主の長男として生まれた。名家である。11歳の時、大 […]
 
 

西有穆山『正法眼蔵啓迪』開山のお示しじゃ!

‎2018‎年‎9‎月‎14‎日、‏‎19:33:11 | 植田信隆全文を表示
魁夷なる異貌、風狂聖、放蕩無頼、天衣無縫‥‥ 禅のお坊さんにはこんなイメージが付いて回る。しかし、道元にはそんなイメージが欠片もない。あくまで端正だ。その点、禅の修行にことさら励んだ明恵上人に通ずるところがある。道元は、 […]
 
 

バックミンスター・フラー 『クリティカル・パス』 part2 シナジェティック幾何学と自己規律

‎2018‎年‎8‎月‎31‎日、‏‎17:07:57 | 植田信隆全文を表示
バックミンスター・フラーは1895年、ニューイングランドのマサチューセッツ州ミルトンに生まれた。奴隷制廃止運動の一翼を担ったことで知られる名家の生まれで、父はボストンで輸入業を営んでいた。大叔母のマーガレット・フラーはエ […]
 
 

バックミンスター・フラー 『クリティカル・パス』 part1 ダイマクションとワールドゲーム

‎2018‎年‎8‎月‎17‎日、‏‎19:59:52 | 植田信隆全文を表示
このような刺激的な本が、ある。読み返してみると自分が、このフラーからどんなに大きな刺激を受けてきたかを今さらながら考えさせられる。何がそんなにこの人を偉大にさせたのか? 何が彼を一年に地球を7周半させるほど駆り立てたのか […]
 
 

藪光生『和菓子 WAGASHI』と甘性文学集『ずっしり、あんこ』

‎2018‎年‎8‎月‎3‎日、‏‎19:38:17 | 植田信隆全文を表示
僕は、広島での個展の時に三癸亭賣茶流(さんきていばいさりゅう)の島村幸忠さんに煎茶の茶会を開いてもらったことがある。最近ではアルルで茶会があったようだ。広島での茶会用に特別の御菓子を旬月神楽(しゅんげつかぐら)の明神宜之 […]
 
 

ロバート・カーギル『聖書の成り立ちを語る都市』part2 ヘレニズム化、死海文書、正典の確立

2018‎年‎7‎月‎20‎日、‏‎20:26:15 | 植田信隆全文を表示
アレクサンダー大王の突然の死去の後、その帝国の一部であるエジプトは、部下であったプトレマイオス一世によって統治される。ギリシア人によってエジプトは支配されるようになるのである。前331年ナイルのデルタ地帯の西に建設された […]
 
 

ロバート・カーギル『聖書の成り立ちを語る都市』part1 聖書の神・文字・編集

2018‎年‎7‎月‎6‎日、‏‎15:43:37 | 植田信隆全文を表示
こんな本が欲しかった。聖書が、いかに書かれたのか、その歴史的変遷が聖書にちなんだ都市毎にまとめられた本である。日本では2018年に出版されたようだ。この本では、歴史における時間軸の上を滑走するのではなく、東地中海沿岸地方 […]
 
 

ミレーナ=美智子・フラッシャール『ぼくとネクタイさん』鏡のなかへの墜落

‎2018‎年‎6‎月‎22‎日、‏‎19:25:22 | 植田信隆全文を表示
この美しく、もしかすると意味のある世界から 君はどれほどのけ者にされ、 あらゆる自然な完璧さからどれほど遠く隔てられ、 君自身の虚無の中でどれほど孤独を感じ、 この大いなる沈黙のなかで、どれほど孤立無援であることか。 マ […]
 
 

アーウィン・パノフスキー『アルブレヒト・デューラー』 part2 土星とメランコリア

‎2018‎年‎6‎月‎8‎日、‏‎19:30:56 | 植田信隆全文を表示
「1525年、聖霊降臨祭の後の水曜日と木曜日との間の夜(6月7日~8日)就寝中、私はいくつもの大水が天から降ってくるこのような光景を見た。そして、その最初のものは私から4マイル離れた大地を巨大な轟音と爆発とともに打ち、す […]
 
 

アーウィン・パノフスキー『アルブレヒト・デューラー』 part1 親愛なる神は細部に宿る

‎2018‎年‎5‎月‎24‎日、‏‎18:08:33 | 植田信隆全文を表示
僕はディテールの細かなものに惹かれる。それも硬質なものがいい。例えば、北宋の山水画、范寛の『渓山行旅図』、郭熙(かくき)『早春図』、李成『晴巒蕭寺図(せいらんしょうじず)』、巨然(きょねん)『層巌叢樹図』、関同『秋山晩翠 […]
 
 

ノースロップ・フライ『大いなる体系』part2 神話の統合性と聖書

2018‎年‎5‎月‎11‎日、‏‎19:34:33 | 植田信隆全文を表示
キリスト教は一神教であり、他の神々は無きものである。イスラム教もユダヤ教もそうであるが、そこでは正しい信仰を持つものの最終的な勝利が革命的文脈の中で語られるとノースロップ・フライは述べる。ギリシア文化は二つの偉大な視覚的 […]
 
 

ノースロップ・フライ『大いなる体系』part1 文学の中の聖書、穏喩と予表

‎2018‎年‎4‎月‎26‎日、‏‎18:29:09 | 植田信隆全文を表示
聖書というものがどのような変遷をたどってきたのか、この本を読むまで考えもしなかったのだが、翻訳の長い苦闘の歴史があったようだ。そのこと以上にどのように書かれているのか、それを知ることはもっと興味深いのではないだろうか。マ […]
 
 

種村季弘『パラケルススの世界』 part2 パラケルスス・人間・ 光

2018‎年‎4‎月‎13‎日、‏‎21:24:52 | 植田信隆全文を表示
ザルツブルクを逃亡したパラケルススことテオフラストゥス・ホーエンハイムは、各地で難病を治して歩いた。ロットウァイルでは尼僧院長の病を、バーデンでは辺境伯フィリップ1世の赤痢を治したが、フィリップは最初に約束した金額を引き […]
 
 

種村季弘『パラケルススの世界』 part1 魔術の如き哲学

‎2018‎年‎3‎月‎30‎日、‏‎17:33:13 | 植田信隆全文を表示
「チューリッヒ湖畔プェフィコンからエッツェルの山道を越えて巡礼地アインジーデルンに向う巡礼街道、目的地から徒歩一時間程手前でジール河を横断する。巡礼者の往還が頻繁になるにつれて、大水のたびに流されていたジール河上の木橋は […]
 
 

『宇津保物語』part2 中上健次の『宇津保物語』

‎2018‎年‎3‎月‎16‎日、‏‎16:51:30 | 植田信隆全文を表示
今回は、前回の『宇津保物語』の内容についてもう少し述べた後、小説家・中上健次(なかがみ けんじ/1946-1992)が、この『宇津保物語』をベースとして描いた同名の小説をご紹介したいと思っている。1978年~79年、雑誌 […]
 
 

『宇津保物語』part1 籠りと神器

2018‎年‎3‎月‎2‎日、‏‎18:00:16 | 植田信隆全文を表示
『宇津保物語』は面白いと僕は思うのだけれど、源氏物語と比較されてか、意外に人気がないらしい。これは偏見ではないのか。源氏物語以前の物語としては、竹取物語、この宇津保物語、そして、落窪(おちくぼ)物語が知られている。いずれ […]
 
 

『ウィリアム・ブレイク』最終回「脱構築する神話」六千年のヴィジョン

‎2018‎年‎2‎月‎17‎日、‏‎14:34:30 | 植田信隆全文を表示
1795年、38歳で『ロスの書』や『ロスの歌』を制作していた頃、ブレイクは銅板から直接彩色印刷を行う新しい実験に没頭していた。エッチング(腐食)を施したレリーフ状の銅板に色を塗り、プレス機や手の圧力で刷る。絵具には、滲み […]
 
 

『ウィリアム・ブレイク』part2 『四人のゾア』一滴の血の中の永遠

‎2018‎年‎2‎月‎3‎日、‏‎16:32:07 | 植田信隆全文を表示
少年ブレイクが、ウエストミンスター寺院に通う途中にテムズ河の岸に見た奴隷船。やがて、アジア、アフリカの白人支配は終わりを告げ、アフリカ諸国民自身による国家が誕生するだろうと予測した。それは後年、彼の西欧文明の没落の宣言へ […]
 
 

『ウィリアム・ブレイク』part1 特殊な誠実とブリコラージュの哲学

2018‎年‎1‎月‎22‎日、‏‎15:17:26 | 植田信隆全文を表示
ロンドンに行って、見てみたかったもの。第一に大英博物館。あの大英博物館では、アフリカ美術に驚喜し、ケルト美術をうっとり眺め、エジプト美術のスケールに感嘆し、エルギン・マーブルと名付けられたギリシア彫刻コレクションに頬ずり […]
 
 

『薔薇物語』 バラと呼ばれる女性を巡る物語

‎2018‎年‎1‎月‎9‎日、‏‎15:30:21 | 植田信隆全文を表示
年齢をかぞえて二十歳(はたち)の年、 恋愛神が若者たちから通行税を 徴収する年齢だが、ある晩わたしは 寝にいった、いつものように、 そうしてなにしろグッスリ眠りこんで、 眠りながら、夢を見た‥‥ (堀越孝一訳) のび太君 […]
 
 

フランソワ・ヴィヨン『遺言詩集』中世の秋に贈る放蕩無頼

2017‎年‎12‎月‎27‎日、‏‎20:18:35 | 植田信隆全文を表示
ヴィヨンという名をどっかで見たはずだ。だが、思いだせません。四苦八苦しているうちに、あった。太宰治が書いた『ヴィヨンの妻』だ。は、はぁーんと思った。太宰はどうやらフランソワ・ヴィヨンを知っていたのである。この間からロシア […]
 
 

オシップ・マンデリシュターム part 2『詩』生きた薔薇万歳

‎2017‎年‎12‎月‎15‎日、‏‎15:08:11 | 植田信隆全文を表示
マンデリシュターム夫人であるナジェージダは、カザフスタンに近いヴォルガ川の流域にあるサラトフという町のユダヤ系の中産階級の家庭で生まれ、キエフで育った。豊かな文化的な環境で育ち、ロシア構成主義の女流画家アレクサンドラ・エ […]
 
 

オシップ・マンデリシュターム part1 『時のざわめき』めくるめく郷愁

‎2017‎年‎12‎月‎1‎日、‏‎18:41:31 | 植田信隆全文を表示
「あの90年代のなかばには、ペテルブルクじゅうが、さながら極楽浄土をめざすように、我も我もとパヴロフスクに押しよせたのだった。汽車の汽笛と発車のベルが、『一八一二年序曲』の愛国的な不協和音とまじりあい、チャイコフスキーと […]
 
 

『ユン・イサン(尹伊桑)』part2 拉致・投獄・オペラ

‎2017‎年‎11‎月‎17‎日、‏‎19:26:38 | 植田信隆全文を表示
1963年、ユン・イサン(尹伊桑/1917-1995)は北朝鮮を旅行して6世紀に造られた王陵を見ることができた。そのような墓内の一つには素晴らしい壁画が残されている。日本でもお馴染みの青龍、朱雀、白虎、玄武の四聖獣である […]
 
 

『ユン・イサン(尹伊桑)』part1 駆け抜ける龍

‎2017‎年‎11‎月‎5‎日、‏‎18:40:08 | 植田信隆全文を表示
劉邦(りゅうほう)の母親である劉媼(りゅうおん)が大沢の堤で休んでいると、夢に神と出会った。この時、雷電があり、あたりが真っ暗になる。父の太公が行くと彼女の上に蛟龍を見た。龍は瑞祥である。劉邦は後に漢の高祖となった(『漢 […]
 
 

『フリードリヒ・ヘルダーリン』 part2 古代ギリシア、一つの対話と帰郷

‎2017‎年‎10‎月‎21‎日、‏‎16:36:00 | 植田信隆全文を表示
三島由紀夫は「本全集を推薦する」としてヘルダーリン全集をこのように言祝いだ。「ヘルダーリン。そのギリシア狂。その静澄。その悲傷。その英雄主義。その明るい陶画のような風景。‥‥青春の高貴なイメージのすべてがここにある。(『 […]
 
 

『フリードリヒ・ヘルダーリン』 part1 ヘルダーリンの円周

‎2017‎年‎10‎月‎11‎日、‏‎17:24:19 | 植田信隆全文を表示
「<ゲーテ>がヘルダーリンにどう向き合ったか、何故にゲーテがあれほど好意的でない扱いをしたのか、その理由を彼女が知っているかどうか、私は尋ねました。それに対して彼女は手短に答えました。‥‥『ゲーテは彼に、詩的に優る精神に […]
 
 

ゲオルク・トラークル『トラークル詩集』part2  鏡の中の響・静けさ

2017‎年‎9‎月‎8‎日、‏‎21:24:58 | 植田信隆全文を表示
1914年、第一次大戦が始った。トラークルは8月に薬剤士官補として家畜用貨車で東部戦線のガリシアに向かう。ポーランドとウクライナが接する地域だ。見送りに来たルートヴィヒ・フォン・フィッカー(1880-1967)に出発の直 […]
 
 

ゲオルク・トラークル『トラークル詩集』part1 響と色

‎2017‎年‎8‎月‎28‎日、‏‎18:35:35 | 植田信隆全文を表示
夏 夕暮になると、森では 郭公(かっこう)の嘆きが沈黙する。 深々と頭をたれる小麦、 赤い罌粟(けし)の花。 黒い嵐が丘の うえにわだかまっている。 蟋蟀(こおろぎ)の古びた歌が 野原で死に絶える。 身じろごうともしない […]
 
 

『エゴン・シーレ』part2 立ち上がる肉体という自然

‎2017‎年‎8‎月‎13‎日、‏‎20:06:07 | 植田信隆全文を表示
また、石畳の起伏に足の指をぶつけた。どうも何年も前にも同じ経験をしたような気がする。ズキンズキン痛い。シュトラッセンバーン(市内電車)を急いで乗り換えようとして普通の歩道の路肩の高さ半分ほどもない石のでっぱりに、僕の足の […]
 
 

『エゴン・シーレ』part1 ジェスチャーする絵画

‎2017‎年‎7‎月‎24‎日、‏‎16:52:29 | 植田信隆全文を表示
捻じれてる‥‥擦(こす)れてる‥‥折れてる‥‥切れてる‥‥歪んでる‥‥膨らんでる‥‥痛々しい‥‥ヒステリックにざわめく‥‥病的に痙攣する‥‥死と性の‥‥感傷的な‥‥憂愁にとざされた‥‥シーレの絵画 今年(2017年)、エ […]
 
 

エミリー・ディキンスン『ディキンスン詩集』part2 幾重にも秘める言葉

‎2017‎年‎7‎月‎7‎日、‏‎18:50:12 | 植田信隆全文を表示
エミリー・ディキンスン(1830-1886)の詩集を初めて手に取ったのは、新倉俊一(にいくら としかず)さん訳編の『ディキンスン詩集』だった。彼女については、あるアーティストからさんざん聞かされていたので興味があった。そ […]
 
 

エミリー・ディキンスン『ディキンスン詩集』part1 不滅の裏側

‎2017‎年‎6‎月‎22‎日、‏‎19:21:21 | 植田信隆全文を表示
美がおしよせる 死ぬほどに―― 美よ どうぞ ご慈悲を―― しかし今日にも果てるなら 汝を見ながら 死なせてほしい (古川隆夫 訳) Beauty crowds me till I die Beauty mercy ha […]
 
 

武満徹 『音、沈黙と測りあえるほどに』 part2 「生」をツラヌク音

‎2017‎年‎5‎月‎14‎日、‏‎16:57:22 | 植田信隆全文を表示
僕は、武満さんとは結局お会いすることができなかった。今から思うとお会いできる機会はあったのかもしれないのだが、残念なことだったと思う。作曲家の高橋悠治(たかはし ゆうじ)さんとは何かのコンサートの後の食事で、一度ご一緒し […]
 
 

武満徹 『音、沈黙と測りあえるほどに』 part1 「生」にツラナル音

‎2017‎年‎4‎月‎30‎日、‏‎17:56:17 | 植田信隆全文を表示
白居易(白楽天)には『琵琶行』という有名な詩があった。それが白と琵琶とを結びつける。彼は828年か829年のいずれかの年に、長安でサマルカンドの氏族の子孫であった曹剛(そうごう)の演奏を聴き感銘を受けた。そして、この楽器 […]
 
 

平川祐弘『アーサー・ウェイリー』源氏物語の翻訳者 part2 紫式部の手法

‎2017‎年‎4‎月‎3‎日、‏‎19:26:27 | 植田信隆全文を表示
ウェイリーは、『枕草子』を四分の一訳して1928年に出版し、1949年には白居易の伝記『白楽天』を、1950年に『李白』を出版。晩年には清朝の詩人袁枚(えんばい)の詩日記ともいえる『袁枚』を出版している。中国の詩には詳し […]
 
 

平川祐弘『アーサー・ウェイリー』源氏物語の翻訳者 part1 物の怪

‎2017‎年‎3‎月‎18‎日、‏‎19:39:09 | 植田信隆全文を表示
「日本の傑作‥‥驚嘆すべき美しさ‥‥この中に忘れ去られた一文明がありありと蘇る‥‥その完成度を凌駕するのはただ西洋の作家の中でも最大の作家のみであろう‥‥」と「タイムズ」の文芸付録は書評を書いた。また、その訳業はどのよう […]
 
 

小泉八雲『日本瞥見記』part2 幻想と真実の間

‎2017‎年‎3‎月‎1‎日、‏‎18:16:38 | 植田信隆全文を表示
「‥‥力強い山頂が、いま明けなんとする日の光の赤らみの中で、まるで不思議な夢幻の蓮の花の蕾のように、紅に染まっているのが見えた。その光景を見た時、皆は心打たれてひとしくおし黙った。たちまち永遠の雪は黄色から黄金へとすばや […]
 
 

小泉八雲『日本瞥見記』part1 彼は日本という幻想を愛したのか

‎2017‎年‎2‎月‎13‎日、‏‎20:27:46 | 植田信隆全文を表示
「来日後、数年の間、彼の日本熱は異常なほど昂進した。ハーンは神々の国を発見し、彼の『知られぬ日本の面影(日本瞥見記)』は日本を手放しで絶賛したが、その日本なるものは、実は彼が自分は見たと勝手に思いこんだところの日本にしか […]
 
 

ポーラ・アンダーウッド『一万年の旅路』「想い」の糸

2017‎年‎1‎月‎11‎日、‏‎17:54:53 | 植田信隆全文を表示
お正月明けに広島のアステールプラザで、グラシオブルオというグループの『ウーマン・シャーマン』というパペット(人形)劇を観た。何の気なしにブラッと入ったてみたのだが、ネイティブアメリカンのホビ族の口伝からヒントを得た物語だ […]
 
 

『細川俊夫 音楽を語る』 人は花、人は絃、人は時

‎2016‎年‎12‎月‎22‎日、‏‎18:34:32 | 植田信隆全文を表示
人間(ひと)は花だ、とあなたは言う、今日は乙女の胸に挿(かざ)されて、明日は箒にかかって散るという。 人間(ひと)は絃(いと)だとあなたは言う、ある時は優しい調べを奏で、ある時は惨めにとぶ。 人間(ひと)は時計だとあなた […]
 
 

ソシュールの「アナグラム」とロマン・ヤコブソンの「音素から詩へ」

‎2016‎年‎12‎月‎9‎日、‏‎17:37:37 | 植田信隆全文を表示
ソシュール、ソルューシ、ルューソシ、ソーシュル。うーんなんだか変だけど面白い。そういえば、ソシアルという散髪屋さんが近くにある。関係ないか。言語学者の間では「二人のソシュール」という言葉があるらしい。一人は構造主義の元祖 […]
 
 

クロード・レヴィ=ストロース part2 『神話論理』 インターテクストをあやどる

‎2016‎年‎11‎月‎23‎日、‏‎19:13:56 | 植田信隆全文を表示
僕は中・高生を教えていて、中学生たちには、21世紀は立体でものを考える時代だよと言ってきているけれど、まあ神話論理を教えるわけにもいかない。高校生には、以前からバックミンスター・フラーとケネス・スネルソンが開発したテンセ […]
 
 

クロード・レヴィ=ストロース part1 『月の裏側』 堆積丘としての日本

2016‎年‎10‎月‎30‎日、‏‎14:05:40 | 植田信隆全文を表示
紀元前三千年に、この物語は書かれた。大神オシリスの後継者を決める裁定の場所に集まった神々の間では、母親のイシスが推すホルスか、あるいは、その母方の叔父にあたるセトを選ぶか意見が割れていた。太陽神プレー・ハラフティーはセト […]
 
 

クレア・キッソン 『話の話』の話 ユーリー・ノルシュテインと幸福な時代の思い出

‎2016‎年‎10‎月‎9‎日、‏‎19:39:49 | 植田信隆全文を表示
はじめに30分弱のアニメーション『話の話』をご覧ください。何も知らないで見ていただくのがベストですが、不幸にして、作者のユーリー・ノルシュテインのことについて知ってしまった人は、できるだけ忘れてくださいませんか。それがこ […]
 
 

三上賀代 『器としての身體―土方巽・暗黒舞踏技法へのアプローチ』 犬に打ち負かされる裸体

‎2016‎年‎9‎月‎26‎日、‏‎19:58:12 | 植田信隆全文を表示
この宇宙に咆哮するミシャグチ神のような人々の戯れとも祈りとも自然を再創造する儀式ともつかないパフォーマンスをご覧いただきたい。その時、僕は広島から倉敷行の胸躍る電車に乗りながら、白塗りってなんで塗るのだろうかとか、舞台は […]
 
 

沖本幸子『乱舞の中世 白拍子・乱拍子・猿楽』 踊る大黒に三番叟

‎2016‎年‎9‎月‎4‎日、‏‎12:36:25 | 植田信隆全文を表示
「‥‥日本の下駄は、それをはいて歩くと、いずれもみな左右わずかに違った音がする――片方がクリンといえば、もう一方がクランと鳴る。だからその足音は、微妙に異なる二拍子のこだまとなって響く。駅のあたりの舗装された道などでは、 […]
 
 

関口裕昭 『パウル・ツェランとユダヤの傷』 メランコリアに咲く薔薇

‎2016‎年‎8‎月‎6‎日、‏‎9:56:26 | 植田信隆全文を表示
「彼は重力の法則を説き、証拠に証拠を重ねた。けれども耳を貸す者は誰もいなかった。そこで彼は空中に浮遊し、漂いながら法則を教えた。今度は皆が彼を信じた。しかし彼が二度と地上に舞い戻らなくても、誰も不思議に思わなかった。(パ […]
 
 

『大野一雄 稽古の言葉』 舞踏―手の中の石蹴り遊び

‎2016‎年‎7‎月‎7‎日、‏‎19:48:11 | 植田信隆全文を表示
この人の舞踏を見ていると、16世紀のドイツの画家マティアス・グリューネヴァルトの描く手を思い出す。手が精神を越え、身体を離れて越え出ようとしている。こんな手を表現できるのは、グリューネヴァルトとこの人しかいない。これは、 […]
 
 

ジル・ドゥルーズ 『フランシス・ベーコン 感覚の論理学』 図像と器官なき身体

2016‎年‎6‎月‎22‎日、‏‎19:03:55 | 植田信隆全文を表示
近くの女子学生が「ベーコンってグニャグニャ曲がったホタテみたいね」と言ったとする。ぼくは、その時、きっと、あの熱で油がジュージューいってるベーコンのことだと思ってしまうだろう。ベーコン=ホタテの等式が成り立つことに恐怖を […]
 
 

能勢朝次 『幽玄論』 最終回 禅竹

2016‎年‎6‎月‎6‎日、‏‎18:23:17 | 植田信隆全文を表示
荒唐無稽と晦渋さが背中合わせになった世界が禅竹の著作の魅力であり不思議さでもあるのだ。晦渋という点では、この後ご紹介する『六輪一露』など、ヤコブ・ベーメの『シグナトゥーラ・レールム』に匹敵するのではなかろうか。その深遠さ […]
 
 

能勢朝次 『幽玄論』 part2 世阿弥

‎2016‎年‎5‎月‎12‎日、‏‎19:54:18 | 植田信隆全文を表示
この間、京都の観世会館で神能の『白髭(しらひげ)』を見た。シテ(主役)は井上祐久さんで、ツレがお世話になっている吉田篤史さんだったのだが、交通渋滞に巻き込まれ、まさかの遅刻。前半の終わり頃、ようやくたどり着いた。後半、後 […]
 
 

能勢朝次 『幽玄論』 part1 僧肇から二条良基まで

2016‎年‎4‎月‎15‎日、‏‎20:59:18 | 植田信隆全文を表示
確かに中高生の頃、かなり前の話で恐縮なのだけれど、幽玄という言葉は習った。でも、そこから世阿弥のいう「花」が萌え、咲きそめるとは知らなかった。芭蕉のいう「まことを責める」とは西行や俊成における歌の細き一筋の道をたどること […]
 
 

袁宏道 『瓶史』 文人と花の心

‎2016‎年‎3‎月‎28‎日、‏‎18:44:09 | 植田信隆全文を表示
春はあけぼの‥‥夏は夜‥‥秋は夕暮れ‥‥冬はつとめて(早朝)‥‥(清少納言) 春は白みかかった山の端。夏の月と蛍。秋の夕日と鴉、雁、風の音、虫の音、雨。冬の早朝、雪、霜、炭の黒。四季の趣きである。 春は花夏ほととぎす秋は […]
 
 

芳賀幸四郎 『東山文化』 団欒の連歌・シンクロする冷え寂び

2016‎年‎3‎月‎10‎日、‏‎20:20:58 | 植田信隆全文を表示
足利義政の個性と保護によって生まれた文化、それが室町中期の東山文化である。この『東山文化』の著者である芳賀幸四郎(はが こうしろう)さんは意外にもこの文化の特質を感覚的に「はではでしく」「花やかな」美であり、また、ほのぼ […]
 
 

ロベルト・カラッソ 『カドモスとハルモニアの結婚』 一貫する差異

2016‎年‎2‎月‎19‎日、‏‎19:10:30 | 植田信隆全文を表示
「ディオニソスは、アッティケの年老いた庭師イカリオスの家に、”見知らぬ客人”として姿を見せた。イカリオスは、娘エリゴネとともに、新しい木を植えることを楽しみに暮らしていた。家は貧しかった。彼は心の […]
 
 

一碗 茶・チャ・ちゃ 最終回 売茶翁と煎ちゃ

2016‎年‎2‎月‎1‎日、‏‎17:59:58 | 植田信隆全文を表示
お茶売りの老人なのだが、ただ者ではなかった。隠元隆琦(いんげん りゅうき)の法統を受け継ぎ、絵師でもないのに若冲、大雅、応挙に大きな影響を与えた。ただ、京都でお茶をいれてひさいでいた。時に、食べることに困ったこともあると […]
 
 

一碗 茶・チャ・ちゃ part2 宋と明のチャ

‎2016‎年‎1‎月‎20‎日、‏‎18:31:29 | 植田信隆全文を表示
「西洋人は、日本が平和な文芸にふけっていた間は、野蛮国と見なしていたが、満州の戦場で大々的に殺戮を行ない始めてから文明国と呼んでいる。近ごろ武士道――わが兵士に喜び勇んで命を捨てさせる死の術――については盛んに論じられて […]
 
 

一碗 茶・チャ・ちゃ part1 陸羽『茶経』対話篇

2016‎年‎1‎月‎7‎日、‏‎20:50:51 | 植田信隆全文を表示
日が高く昇るまでぐっすり寝ていた。すると、使いの兵がドンドンと門を叩いたので目が覚めた。親友の孟諌議(もうかんぎ)からの手紙を持ってきたと言う。その手紙は、白絹で包まれ、斜めに封じて、更に三つの印の押された丁重なものだっ […]
 
 

夢の眼 『明恵上人夢記』

‎2015‎年‎9‎月‎24‎日、‏‎17:50:26 | 植田信隆全文を表示
1.能と明恵上人 書き出しは『春日龍神』という能の話からだった。栂ノ尾・高山寺の明恵上人(みょうえしょうにん)が入唐渡天を志し、春日明神に暇乞いをするのだが、一人の翁がしきりに上人を諌める。それは春日明神の社司の祖であっ […]
 
 

ルドルフ・シュタイナーの美学 part2 人智学から見た芸術

‎2015‎年‎9‎月‎1‎日、‏‎13:52:07 | 植田信隆全文を表示
「自然自体が芸術家であるなら、論理的な把握によって自然に近づくことはできません。事実、自然は芸術家なのです。‥‥観念の中に生きることを中止するために、形象によって思考し始めねばなりません(『人智学と芸術』)」。 「認識が […]
 
 

ルドルフ・シュタイナーの美学 part1 ベンヤミン・ゲーテ・シュタイナー

2015‎年‎8‎月‎10‎日、‏‎19:41:44 | 植田信隆全文を表示
こんな美学があるだろうか。 音楽的なものが詩の中に響く時、血液と神経の間で 演奏される内的な音楽が言葉の中で再び外に向かっ て解放される。 頭は空っぽになって、腕と手が形態としての宇宙を 写し取れるようにならなければなら […]
 
 

イメージの配列 彌永信美『観音変容譚』仏教神話学Ⅱ

‎2015‎年‎7‎月‎20‎日、‏‎20:54:30 | 植田信隆全文を表示
神話は、流動する。様々な地域と、あるいは時代の流れと合わさったり離れたりしながら現在も巨大な幾本もの大河となって流れ続けている。その変遷は、けっして直線ではない。注意して覗いていないと乱流のような複雑な渦にすぐに巻き込ま […]
 
 

『フラクタルな僕とカオスな君』 イアン・ステュアート『カオス的世界像』

2015‎年‎7‎月‎6‎日、‏‎20:20:14 | 植田信隆全文を表示
シダが開きかけているところを見てるとなんだか同じような丸まった葉が先に向かって小さくなりながら連なっている。巻貝の表面の凹凸も同じように小さくなりながら螺旋を描く。海の潮が引いていくとき水流の跡を砂の表面に残すけれど、そ […]
 
 

『王書(シャー・ナーメ)』と『イスラームの写本絵画』

‎2015‎年‎6‎月‎15‎日、‏‎18:28:41 | 植田信隆全文を表示
二人の愛は刻々高まり 叡知は遠のき、熱情は近づき こうして彼は夜が白むまでいた 幄舎から太鼓の音が響くと ザールは月の美女に別れを告げ 縦糸と横糸がからむようにしっかと抱き ともに目に涙をためながら 昇る朝日をののしって […]
 
 

マーク・ブキャナン 『複雑な世界、単純な法則』

2015‎年‎5‎月‎25‎日、‏‎18:48:58 | 植田信隆全文を表示
世間は狭い?! 例えば、こんな体験談はいくらでもあるのでは。「県外へ旅行の途中のこと、両親の乗った車が側溝に落ちた。その時、一番に助けに来てくれた人は自分の親友の友人だった。」「 久々の東北旅行、山間のひなびた温泉に泊ま […]
 
 

彌永信美『大黒天変相』仏教神話学Ⅰ

‎2015‎年‎4‎月‎20‎日、‏‎19:29:19 | 植田信隆全文を表示
この本はフランスの東洋学の泰斗であるロルフ・スタンに触発されて生まれた。あの『盆栽の宇宙誌』(壺中天の位相幾何学 part1 ロルフ・スタン『盆栽の宇宙誌』)の著者である。例えばこんな文章に。「真冬に裸で走る少年に冷水を […]
 
 

『天台本覚思想と一心三観』 

‎2015‎年‎3‎月‎29‎日、‏‎13:20:37 | 植田信隆全文を表示
となうれば 仏もわれもなかりけり 南無阿弥陀仏なむあみだ仏   一遍 この歌をこの間から思い出そうとして四苦八苦していたのだが、今朝耳の穴を綿棒で掃除していたら思い出した。罰当りなことだが機縁とはこういうものかしら。この […]
 
 

「習合」という名の結合術 

‎2015‎年‎3‎月‎4‎日、‏‎21:18:50 | 植田信隆全文を表示
牛頭天王(ごずてんのう)は、須彌山の豊饒国のとうむ王とさいたん国のあるじ女との間に生まれた王子で、丈九尺二分、赤い七本の角を頭に生やし、左手に瑠璃壺を持ち右の手には「百しゅの三字(薬師の三界印?)」を持つ。父に龍宮の「ち […]
 
 

『翁』とは何か

‎2015‎年‎2‎月‎17‎日、‏‎20:25:08 | 植田信隆全文を表示
徳川家康に仕えた大久保長安(ながやす)は「天下の総代官」と異名をとるほど大きな権勢を誇った。天文14年(1545年)、猿楽師の大蔵太夫金春七郎喜然の次男として生まれている。長安の祖父は春日大社で奉仕する金春流の猿楽師であ […]
 
 

北原白秋 「思い出」―叙情小曲集 その魔術的両義性

‎2015‎年‎1‎月‎5‎日、‏‎19:53:01 | 植田信隆全文を表示
感覚 わが身は感覚のシンフオニー、 眼は喇叭、 耳は鐘、 唇は笛、 鼻は胡弓。 その病める頬を投げいだせ、 たんぽぽの光りゆく草生(くさぶ)に、 肌(はだ)へはゆるき三味線の 三の糸の手ざわり。 見よ、少年の秘密は 玉虫 […]
 
 

カール・グスタフ・ユング 『アイオーン』 part2 シンボルとしての魚と蛇

‎2014‎年‎12‎月‎2‎日、‏‎19:47:07 | 植田信隆全文を表示
心理学という経験領域においては白と黒、光と闇、善と悪は等価的対立物である。したがって、キリストというシンボルにもその反対物が付き従う。これが反キリストという形姿にほかならない。それはまた、先鋭的に対立化する現代のさまざま […]
 
 

カール・グスタフ・ユング 『アイオーン』 part1 キリストの影

‎2014‎年‎11‎月‎24‎日、‏‎21:05:03 | 植田信隆全文を表示
グリム童話にこんな話があるのをご存じだろうか?「小さな子供たちが、お父さんが豚を屠殺(つぶす)ところを見ていた。戯れに一人がもう一人に『おまえ、豚におなり。ぼくは、豚をつぶす人になる』といって抜身のナイフで弟の喉をぐさり […]
 
 

張光直 「中国青銅時代」 ”共餐と饕餮” 最終回 夔と商容

‎2014‎年‎10‎月‎31‎日、‏‎21:04:05 | 植田信隆全文を表示
張光直(チャン クワン チー)さんの名著『中国青銅時代』に関する文章も今回で最終回となる。 part1共餐 では主に青銅器とそれに関わる祭祀での神との共食にスポットを当てた。part2 饕餮紋とは何かでは青銅器本体に造形 […]
 
 

張光直 「中国青銅時代」 ”共餐と饕餮” part2 饕餮紋とは何か

‎2014‎年‎10‎月‎13‎日、‏‎21:27:03 | 植田信隆全文を表示
中国の青銅器を見た時の驚きを何に例えたらいいだろうか。極めて厳然としたフォルムと奇妙にシステマティックな現代性。畏怖とユーモアの結婚。凍てつくようなファンタジー、硬質で核心的な表現。この異様なイメージは何処からやってきた […]
 
 

張光直 「中国青銅時代」 ”共餐と饕餮” part1 共餐

2014‎年‎9‎月‎29‎日、‏‎20:07:40 | 植田信隆全文を表示
広島県の竹原という所に竹鶴酒造という酒造会社がある。日本のウィスキーの祖、竹鶴政孝はその分家の出身である。その竹鶴酒造で杜氏(とうじ)をしている石川達也さんは、私が中高一貫校で教えた最初の学生で、その時、高校2年生だった […]
 
 

アンドレイ・タルコフスキー 『映像のポエジア』 と E. ヨセフソン・インタヴュ― part2 芸術論

‎2014‎年‎8‎月‎20‎日、‏‎21:58:05 | 植田信隆全文を表示
前回の part1 ではタルコフスキーの映像論を中心にご紹介した。今回の part2 では主に芸術論に関する内容をご紹介しようと思っている。タルコフスキーは彼の著書『映像のポエジア』のなかでこう述べている。「芸術は本質的 […]
 
 

アンドレイ・タルコフスキー 『映像のポエジア』 と E. ヨセフソン・インタヴュ― part1 映像論

‎2014‎年‎8‎月‎17‎日、‏‎19:10:00 | 植田信隆全文を表示
エルランド・ヨセフソンはアンドレイ・タルコフスキーの映画作品である『ノスタルジア』や『サクリファイス』に出演した俳優としてつとに有名である。イングマール・ベルイマンの作品にも登場する名優だ。今回、タルコフスキーの著作に関 […]
 
 

壺中天の位相幾何学 part2 三浦國雄 『風水/中国人のトポス』

‎2014‎年‎7‎月‎10‎日、‏‎14:06:29 | 植田信隆全文を表示
中国人にとって宇宙はどのような構造になっているのか。この本の主題の一つはこれである。今回は、三浦國雄(みうら くにお)さんの著作『風水 中国人のトポス』を中心に中野美代子(なかの みよこ)さんの『龍の住むランドスケープ』 […]
 
 

壺中天の位相幾何学 part1 ロルフ・スタン『盆栽の宇宙誌』

‎2014‎年‎6‎月‎22‎日、‏‎19:01:24 | 植田信隆全文を表示
宮廷に招かれた道士の玄解は、その出自の東海にある仙界に戻りたいのだが、皇帝はそれを許さなかった。宮中にはその東海にあるとされる海上の三つの神山である、蓬莱(ほうらい)、方丈(ほうじょう)、瀛州(えいしゅう)をかたどった木 […]
 
 

”記号の組み合わせが全知を導く ” 最終回 「アルス・コンビナトリア」とノヴァーリス以降

2014‎年‎5‎月‎10‎日、‏‎19:56:25 | 植田信隆全文を表示
ライプニッツの思想にノヴァーリスが触れたのは医学史や思弁哲学の書物からだった。例えばティーデマンのこのような記述からである。『(ライプニッツの)これらの研究をうかがうに、彼の火のような、つまりいまだ冷静な理性によって充分 […]
 
 

”記号の組み合わせが全知を導く ” part2 ライプニッツ 「デ・アルテ・コンビナトリア」

2014‎年‎3‎月‎30‎日、‏‎19:33:55 | 植田信隆全文を表示
『‥‥ しかし、私にとっては結合法は事実は全く異なったものです。即ち ”形相の学” あるいは ”相似と相似でないことの学” にほかなりません。これに反して代数学は ”大きさの学” あるいは ”相等と不等の学” です。結合 […]
 
 

”記号の組み合わせが全知を導く ” part1 ルルスの術 「アルス・コンビナトリア」

‎2014‎年‎3‎月‎3‎日、‏‎22:40:30 | 植田信隆全文を表示
『マラルメの詩「骰子一擲(さい いってき)、ついに偶然を滅せず」は、結合術的文学をもっとも極限まで突き詰めた結果とみなすことができる。ここでは言語が持つ音声的レヴェルと通常の活字-視覚化される記号的要素に並んで、一群の新 […]
 
 

”世界をロマン化する” part2 中井章子 『ノヴァーリスと自然神秘思想』

2014‎年‎2‎月‎6‎日、‏‎21:06:58 | 植田信隆全文を表示
1800年前後に自然神秘思想の再生によって自然観に革命をもたらそうとしていたのはノヴァーリスだけではなく、ゲーテ、バーダー、シェリングなどにも共通すると中井さんは言う。このような人たちはデカルトのもたらした機械論的世界観 […]
 
 

”世界をロマン化する” part1 中井章子 『ノヴァーリスと自然神秘思想』

‎2014‎年‎2‎月‎2‎日、‏‎19:55:13 | 植田信隆全文を表示
「人類とは、我らが惑星の高次の感覚、この星を上なる世界に結びつける神経、地球が天を仰ぎ見る眼なのだ。」(ノヴァーリス『断章あるいは思考的課題 202) 「私たちは至るところで制約なきものを探すが、見出すのはつねに物でしか […]
 
 

”鏡というメタファー” 岡部雄三 『ヤコブ・ベーメと神智学の展開』

‎2014‎年‎1‎月‎14‎日、‏‎22:06:48 | 植田信隆全文を表示
今はポーランド領になっているボヘミヤの町ゲルリッツで、一人の信心深い若者が心の暗黒を彷徨っていた。彼の名前はヤコブ・ベーメという。靴屋が生業だった。悪という心の闇に怯えていたのである。もはや天にまします神のコスモスは、コ […]
 
 

”おもかげとうつろいを綾取る” 松岡正剛 『日本という方法』

2013‎年‎12‎月‎20‎日、‏‎20:41:29 | 植田信隆全文を表示
  松岡正剛(まつおか せいごう)さんの著作について書くのはちょと緊張する。僕はこの人のサイト『千夜千冊』を随分見てきた。何度も目を見ひらかされてきたし、うろこを何度も落としていただいてきた。その独特の思想にも […]
 
 

金子光晴 詩集 『人間の悲劇』

2013‎年‎11‎月‎18‎日、‏‎0:35:10 | 植田信隆全文を表示
この前、綴った吉田一穂(よしだ いっすい)の詩集との繋がりで金子光晴(かねこ みつはる)という詩人の作品に興味を覚えた。一穂は金子にとって早稲田大学の後輩にあたり、その後の交友も深かったようだ。谷崎潤一郎にかわいがられた […]
 
 

定本 吉田一穂 全集より

2013‎年‎10‎月‎25‎日、‏‎20:22:57 | 植田信隆全文を表示
十代の後半の頃、吉田一穂(よしだ いっすい)という詩人に惹かれていた。唯一好きな詩人だった。僕は、詩人には何故か縁がない。晩年お付き合いいただいた佐藤慶次郎さんは、多くの詩人に愛された芸術家だった。瀧口修造、草野心平、谷 […]
 
 

折口信夫 神事舞踏の解説としての能/「しゞま」と「ことゝひ」の中のシテとワキ

‎2013‎年‎8‎月‎21‎日、‏‎12:04:59 | 植田信隆全文を表示
折口さんは、日本の学者の中でも極めてセンシティブな人の一人ではないかとよく思う。今回は、『能楽に於ける「わき」の意義/「翁の発生」の終篇』を中心にご紹介したい。またもや眼を開かれたのである。 五月の田遊びから田楽(でんが […]
 
 

ジュリアン・ジェインズ「神々の沈黙」と ルドルフ・シュタイナー「アカシャ年代記より」

‎2013‎年‎8‎月‎4‎日、‏‎13:43:36 | 植田信隆全文を表示
何故、古事記の時代には神々はあのようなドラマに生き生きと描かれたのか。万葉の世界では神々との請(うけひ)がリアルに詠われるのか。源氏物語では生霊が跋扈し、平家物語では怨霊たちが鎮められた。しかし、室町にはいって夢幻能にな […]
 
 

まど・みちおさんのあることとないこと

2013‎年‎7‎月‎14‎日、‏‎11:39:53 | 植田信隆全文を表示
  まどさんの詩に触れたのは恐らく、もの心つくかつかない頃だろうと思う。ほとんどの日本人がそうだといっていい。なにせ、あの『ぞうさん』の作詩者だから。でも作曲者の方は意外と知られていないかもしれない。オペラ『夕 […]
 
 

細川俊夫 Hiroshima Happy New Ear コンサートⅩⅣ

‎2013‎年‎7‎月‎6‎日、‏‎14:41:58 | 植田信隆全文を表示
  細川俊夫さんが音楽監督をされているHiroshima Happy New Ear(広島の新しい耳)  コンサートが今回で14回目を迎えた。馴染みのない「現代音楽」という新しい「音楽」に出会うことを 新年(H […]
 
 

パウル・クレー 『無限の造形』 1923年11月27日の授業原稿

‎2013‎年‎6‎月‎30‎日、‏‎17:50:00 | 植田信隆全文を表示
20代のころにパウル・クレーの『造形思考』を買った。何度も何度も読みかえしたし、造形上の色々の考え方を知ることができた。自分にとって、とても大切な本だったが、未だその本質を完全に理解できたとは言い難い。時々思い出したよう […]
 
 

美術史家としての高橋厳 ヨーロッパの闇と光

‎2013‎年‎6‎月‎23‎日、‏‎21:45:48 | 植田信隆全文を表示
                        Caspar David Friedrich (17 […]
 
 

ディディ=ユベルマン 残存するイメージ 

‎2013‎年‎6‎月‎15‎日、‏‎21:50:33 | 植田信隆全文を表示
  今、トール・ノーレットランダーシュの『ユーザー イリュージョン』を読んでいる。光ファイバーの向こう側で「君はこの本を読んだ方がいいよ。」と囁いてくださっている方がいるような気がするのだ。いよいよ精神があやし […]
 
 

バーバラ・スタフォード『グッド・ルッキング』違うという時代の同じ 

‎2013‎年‎6‎月‎9‎日、‏‎2:21:37 | 植田信隆全文を表示
  この二つの画像、当然別物であって同じではない。しかし、よく似ている。右のマン・レイの写真(20世紀)は広く知られているから、左のトーマス・ベイトマンの「皮膚病の描写」(19世紀)を見てマン・レイの作品を思い […]
 
 

脳の中の渦

‎2013‎年‎6‎月‎2‎日、‏‎0:08:49 | 植田信隆全文を表示
                            プリューム型の熱対流の法 […]
 
 

ゲーテの原型 植物と動物の間

‎2013‎年‎5‎月‎28‎日、‏‎22:42:29 | 植田信隆全文を表示
図1 ゲーテによる原植物  ゲーテは、形態をある一つの原形から変容しながら発展していく「なりたち」を持っていると考えた。この原型は、植物では、葉の形であり、動物では、椎骨の形である。植物とは、葉のメタモルフォーゼが連続し […]
 
 

宇宙の叙情 Arvo Pärt

‎2013‎年‎5‎月‎26‎日、‏‎23:01:47 | 植田信隆全文を表示
  去年だったか、一昨年だったか細川俊夫さんのホルン協奏曲がベルリンフィルの定期で取り上げられて嬉しかった。確か「開花の時」というタイトルだったように憶えている。日本人の作曲家も活躍してるんだと思った。ラトルの […]
 
 

宇津保舟としての虫たち

2013‎年‎5‎月‎25‎日、‏‎21:00:46 | 植田信隆全文を表示
    最近、蝶や蜻蛉などの昆虫に注意が惹かれる。比較的自然の残っているところに住んでいるから少し気をつけているとすぐに目にできる。しかし、蜻蛉などはかつてのように群舞する姿はもう見られない。彼らの姿 […]